IN THE RAIN

 ザーザーザ・・・・

 雨が降る夕方、アスカは学校の入り口で恨めしそうに空を見上げていた。

「あ〜もう!何で降るのよ、腹が立つわ」

 今日の天気予報は快晴。朝、昼、授業が終わるまでは雲一つ無かった。誰もが傘を持つ必要はないと感じる。

「天気予報はうそつきね」

 普通なら授業が終わったらシンジと一緒に帰るのだが、今日は当番で遅くなったのだ。

「さっさとやみなさいよ!」

 空に向かって激怒、だがむなしいだけである。

「はあ〜・・・・・しょうがない濡れて帰ろ」

 ため息をつき意を決すると走り出した。

 バシャバシャバシャ!

 走り地面を蹴るたびに水が足元を濡らし、前身に雨が強烈にあたる。

「もう、イヤになるわ」

 頭に鞄を乗せ傘がわりにするが効果が無い。

 バシャバシャバシャ!

 

 

 そして店の軒先で雨宿り、ハンカチを取り出し濡れた体を拭いていく。

「どんどん強くなるじゃない」

 雨は時間が増すごとに強さが増していく。地面に落ちた雨がはね返り靴がもうずぶ濡れである。

「はあ〜・・・・」

 止む事を知らない雨、走ることに疲れたアスカは空をずっと見つづけていた。

 

 

 微かだがアスカの聞き慣れた声が耳に入ってきた。ふとそちらの方向を見てみる。すると・・・

「アスカ〜〜!」

「シンジ!」

 見つめた先にはこちらに走ってくるシンジが見えた。先に帰っていたはずなのに、こちらに向かってくる。 

「アスカ、迎えに着たよ」

 息を切らしながら、アスカ用の赤い傘を渡した。

「ありがとう、よく来てくれたわね」

「うん、ミサトさんが多分困っているから行って来なさいって、はあはあ」

 息を整えると今来た道を二人で戻る。だがアスカが自分の傘を広げて・・・・

「なによこれ!?」

 広げてみると傘の部分がボロボロに切り裂かれていた。傘の役目を絶対に果さないほどに。

「ど、どうしてなんだろう?」

 シンジも慌てながら疑問に思うが、答えが出てこない。

「誰がやったのよ?・・・・・・!」

 お気に入りの傘、腹立たしいがふとある人物のニヤケ顔が浮かんだ。

 

 

「どうしよう・・・」

 オロオロするシンジ。

「入れなさいよ。帰るわよ」

「えっ?い、一緒に」

「当然でしょ。私に濡れて帰れっていうの!」

「そ、そんなんじゃないよ」

 ドキドキするシンジ。帰る方法は三つある。

 一つ、シンジが傘アスカが濡れる。

 二つ、シンジが濡れるアスカが傘。

 三つ、一緒に一つの傘に入る。

 三つ目を想像したシンジは中学生らしく、ドキドキ。

「ほら帰るわよ」

「う、うん」

 

 

「ほらもっとくっつきなさいよ。濡れるでしょ」

「う、うん」

 いつもならアスカを意識しないのだが、こんなシチュエーションにはなれていない。急に声がうわずる。

「それじゃあアンタの肩が濡れるじゃない」

「大丈夫だよ」

 アスカが濡れないように傘はアスカ寄り、当然シンジの肩は濡れている。

「ダメよ。風邪でもひかれたら困るわ」

「うっ!・・・・・」

 シンジの肩に寄りかかるようにくっつくアスカ。シンジは緊張のあまり息が上手にできない。

「これで大丈夫よ」

「う、うん」

 二人は歩幅を合わせ、互いに濡れないようにユックリ帰り道を歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃家では・・・・・・

「もうシンちゃん!そこでガツ〜ンといきなさいよ!」

 ミサトの部屋、ビールを飲みモニターを見ながら、一人叫んでいた。

「せっかくお姉さんが、素晴らしいシッチェ〜ションを用意したのにもう奥手なんだから」

 モニター内は寄り添っているアスカにガチンガチンのシンジ、右手右足が同時に出ている。

「シンちゃん、もうちょっと積極的にならないとね」

 

 

 二人を出迎えたニコニコ顔のミサトだが数日後、傘をボロボロにした事でアスカに洋服を買わされる羽目になり泣くミサトであった。


 二人で一つの傘に・・・・だがそれはミサトの陰謀、いやカラカイですね(^^)

 二人はラヴラヴ?に帰宅しましたが、ミサトは後で泣くしかありませんでした。良いコトしたのに?

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION IN THE RAIN